精神科病棟保護室
私の知る限り、どの病院の精神科にも屈強な男性看護師がいる。
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精神状態が不安定になった患者さんは、時に大暴れする。それを取り押さえて、保護室と呼ばれる特別な部屋に閉じ込める。時に両手両足を拘束する。
精神科の男性看護師達は、普段は女性の看護師と同じ仕事をしている。しかし患者さんが暴れた時は、まっ先に駆けつけて取り押さえる。
そういう重要な任務を帯びて、彼らは精神科に在籍している。
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私の通う大学の精神科には、暴れる患者さんに入ってもらう保護室が一室しかない。だからあまり多くの重病人を入院させることが出来ない。
大学病院の精神科に重病人が少ないのはこのためだ。
重症の精神病の患者さんは、精神科専門の病院の方が多い。
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一度、そのような精神科病院に実習に行った。
保護室の見学もした。
直径が5cmほどある鉄格子と、床に直接置いてある厚さ5cmほどのマットレス。床の片隅に開いている穴は、トイレの穴だ。便器はない。タダの穴。
正直、動物の檻にしか見えない。刑務所より酷い。
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「動物の檻みたいな、非人間的な施設だと思っているでしょう。」
案内してくれた医師が、私の心を読んだように、そう言った。
「だけどこれは全部必要不可欠なんです。片面が全部鉄格子になっているのは、死角をなくするため。トイレが見えるようになっているのも同じ理由。患者さんが死角に隠れるようではダメなんです。自殺を図る人が多いから。トイレの便器もベッドも、高さが無いように作っているんです。少しでも高さがあると、飛び降りしたりするんです。」
「あまりにも非人間的だって事で、数年前できた県内の精神科病院は保護室がキレイに作られたんです。だけど、そこから逃げ出す患者さんが多くて。だから結局ウチの病院に転院してくるんです。頑丈な鉄格子は、やっぱり必要なんです。」
「これでも逃げ出す患者さんがいるくらいですから。数年前、左官屋さんをやっていた患者さんが、ここから逃げ出したんです。天井の板をものすごくシステマティックに外して、天井裏に逃げちゃったんです。その時は警察もたくさん来てもらって、天井裏の大捕り物でした。」
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きれいごとだけでは、なかなか上手くいかないらしい。
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こんな事を書くと、読んだ人の精神科の患者さんへの偏見が酷くなるかもしれない。
だけど、重大な犯罪を犯す人間の割合は、精神病の患者さんの方が少ない。
精神病を患っていない人間の方が、よく人を殺す。
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ああ、人間そのものに対する偏見が酷くなりそうだ。
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P.S 明日はお休みします
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